軸ブログvol.9『楽に動かすのか?速く動かすのか?』〜モーメントアーム〜

こんにちわ。
身体と動きに『軸をつくる』ボディワークスタジオ
BASE Conditioning Laboの山辺です。

 

『楽に動かすのか?速く動かすのか?』

タイトルにもある
『楽に動かすのか?速く動かすのか?』
具体的にこんな状況をイメージしてみてください。

 

【公園に生えている木の枝を折る】

 

この場合、一本の棒を両手に持って
『エイッ』って折る場合ではなく

枝を折る
地面から生えている『木』の枝を折る場合を
イメージしてみてください。

 

枝を折る

 

 

クオリティの下がり方に一抹の不安を覚えますが
おそらく、これで皆様が一様に同じイメージを
抱いて下さったのではないでしょうか 😆

この枝を折る場合
【あなたならどの辺をもって折りますか?】
というのが今回のテーマです!

 

こんなイメージですね。

もし『A』を選んだなら
相当、腕力に自信のある方か
人と同じことはしたくない!という天邪鬼な方だと思います。

なぜ『B』の方が楽なのか?

ほとんどの方が無意識的、経験的に
『B』を選んだのではないでしょうか?
なぜ、ほとんどの方が『B』を選んだのか
考えてみましょう。

経験的に考えれば
『枝の付け根から遠いところを持った方が
楽に折れるから』

 

と説明する事ができますが
実はこれが前回の内容で出てきました
『力のモーメント』で説明が出来るんです。

力のモーメントとは

『力のモーメント』とは『物体を回転させる力』
だった事は覚えていただいてますでしょうか?

 

今回の『枝を折る』という作業において
何が回転しているのかというと、こういう事です。

枝折るモデル

枝の付け根を支点に
回転するように動いています。

その枝を回転させるように力を加えて
折るわけですね。

 

で、今回の問題は【どこに力を加えるのか!】
という事です。

 

これを物理的に考えると
【支点からどの距離にどれだけの力を加えるのか】
という事になります。

この支点から力を加えた部分までの距離の事を
モーメントアームと呼びます。

 

釣り合い

少しだけ話題を変えましょう。

 

釣り合い

『?kgには何キロのオモリを吊るせばこの棒は釣り合った状態をキープできるでしょうか?』

小学校か中学か高校の時にやりましたね!
支点からオモリを吊るした点までの距離
吊るしたオモリの重さをかければいいんでしたね!

 

 

この場合
支点から左側が
5(㎝)×3(kg)=15

になりますので。

15(㎝)×?(kg)=15

に成ればいいので
吊るすオモリの重さは1kg
という事になります。
この支点からオモリを吊るす点までの距離も
ある意味モーメントアームという事になります。

何が言いたいのかというと
モーメントアームが長くなれば長くなるほど
少ない力で物体を回転させる事ができるという事を
理解していただきたいのです。

 

そこで今回、問題にしているのはこれでしたね。

“『A』と『B』どちらの方が楽に折れるのか?”
多分『B』の方が楽に折れるという事はイメージできると思いますよね!

という内容でした。

今回やった内容で
『なぜ楽なのか?』
という事を説明してみてください。

もちろん『モーメントアーム』
という言葉を使っていただければ嬉しいです。

僕なりの言葉で説明するなら
『A』よりも『B』の方がモーメントアームが長くなるので
より少ない力で枝を折る事ができるから、
『B』の方が楽に折れる

という感じで説明します。

 

やっと戻ってまいりました!肩関節のインナーとアウター!

このイラストを覚えていただいておりますでしょうか?
久しぶりに登場しました。

そもそもこれの話をしてたんです。
もう分かりますよね!

 

以前、
インナーマッスルは求心力を生み出し
運動の支点をつくる働きが働きがメインで
『関節運動時の動的な支持に作用する』

そして、
アウターマッスルは
『大きな力を生み出し関節を動かす』

という話をしたと思いますが、
肩関節においてアウターマッスルにあたる
三角筋はインナーマッスル(棘上筋)よりも
停止部を遠くにとる事で
モーメントアームを長くして
効率よく肩関節を動かしています。

肩筋モーメントアーム比較

 

このように
棘上筋の生み出す求心力=回転軸を安定させるインナーマッスルとしての作用
三角筋の生み出す関節を動かす力=大きな力を生み出す作用
関節を動かす時に、この二つが力が
絶妙なバランスで働くことで動いています。

これは肩でけではなく
股関節をはじめ体幹部や体の各所で
行われていることです。

どうでしょうか?
まだインナーマッスルだけを鍛えた方が良いと思いますか??

 

もちろんアウターマッスルだけでもダメですね。
じゃあどうしたら良いのか!

ここからは僕の経験による考え方なので
『そういう考え方もあるのね!』
と思っていてください。

僕は関節運動の主役はアウターマッスルだと思っています。
まずアウターマッスルありきで、
それに必要なだけのインナーマッスルがあるかどうか?
という考え方をしています。

『いやいやインナーがあるからこそ
アウターが活きるのだからインナーが主役でしょ!』
という方もおられると思いますが
それはそれで良いと思います。

結局は同じところを目指していることには変わりないので!

 

軸ブログvol.8『外から動かすから軸がぶれる。でもそっちの方が楽なのよ!』

こんにちわ。
身体と動きに『軸をつくる』ボディワークスタジオ BASE Conditioning Laboの山辺です。

 

僕は、僕の今できる事を精一杯するだけです。

 

そろそろタイトルを
【体を動かすなら知っておきたい『物理学』】
に変えた方がいいかな?
なんて思っております。

 

前回のブログ
軸ブログvol.7『外から動かすから軸がぶれる・後編その3』
にあったイラストがこちら。

回転運動
回転運動

『物を回転させる力』を
生み出す為には一箇所を固定して
他のところに力を加えれば良い!

という事をイメージして頂くのに
出てきたイラストです。

もし固定していなかったら。。。

並進運動
並進運動

 

こうなりますね!
ただ、横にズルズルと動くだけです。

そして、肩の話に戻りましょう。

 

棘上筋

棘上筋・・・・・回転中心を固定する役目

三角筋・・・・・上腕骨(物体)を動かす役目

を果たしているのがわかります。

モーメントのコピー

 

こんな感じですね。

これを見て頂けたらわかると思いますが
インナーマッスル(この場合『棘上筋』)の役目は
『物を動かす』のではなく、
『動かそうとした時に、変に動かないように支持させる役目』
だという事がわかります。

ただ動かないように抑え込んで支えるのでは無くて
動かそうとした時に思い通り動く為に支える
=『回転中心がブレないように』支える
これが基本的なインナーマッスルの役目だと
理解しておいていただければ良いと思います。

さて、ここで物体を動かす力を生み出す
三角筋(アウターマッスル)に目を向けてみましょう。

モーメント長の比較

 

同じ力で押したとして
どちらの方が楽に動かせるでしょうか?

『1』の方が簡単に動かせそうな気がしませんか?

そうです!
『1』の方が力学的には
少ない力で動かせます。

こう考えてみてください。

モーメントアーム比較力を加えた方向に線を伸ばして
回転中心に垂線を引いた時の
その垂線の長さ
(このイラストでは緑の線

この長さが長いほど
軽い力で物体を回転させることができます。

この線のことを【モーメントアーム】と呼び
物体を回転させる時の重要な考え方となります。

次回では実際体の各関節では
どうなっているのか
肩以外の関節の例も
出しながら、この
【モーメントアーム】
【力のモーメント】
に慣れていって頂きたいと思います。

軸ブログvol.7『外から動かすから軸がぶれる・後編その3』

まずは前回の復習

おはようございます。
身体と動きに『軸をつくる』ボディワークスタジオ BASE Conditioning Laboの山辺です。

『筋肉の働きは?』
『この絵ののおかしいところは?』
筋肉のイメージ1

覚えていますか?
もし『忘れてしまった』という方は

軸ブログvol.6『外から動かすから軸がぶれる・後編その2』

こちらをご覧ください。

『そんな時間ないよ!』
というお急ぎの方のために
前回の要約だけ。

  • 筋肉の働きは『縮む』という事

筋肉モデル

 

 

  • 筋肉の長さが縮んで短くなることでその両端の骨を近づける方向に動かす力を生み出す。

上腕二頭筋モデル

  • その筋肉が骨に付いている場所を『起始』『停止』とよ呼ぶ
    (一般的に動いていない方についている部分を『起始』、動いている方の骨に付いている部分を『停止』と呼ぶことが多い。)

これが筋肉を考えるときの基本です。

これが分かれば筋トレもストレッチも理解したも同然です。

ただ、カラダにある筋肉の数が少し多い(大体600個と言われています)のと
一つの筋肉に『起始』複数あったりするので覚える量が多くて困るだけですが
これはひとえに『慣れ』ですので頑張ってください。

 

では前回の続きに参りましょう!

1.【回転軸】回転中心を固定する

まずはこちらを見てください。

 

『サイドレイズ』という肩の筋肉『三角筋』を鍛えるエクササイズです。

それをイラストで書くとこんな感じです。

 

三角筋

 

 

前回見ましたね
腕を横から上げる時の簡単なモデルです。
解剖学的には『三角筋』による『肩関節外転』です。

ただし、これでは前回お話ししたように
物理的に考えると脱臼してしまいますよね。
『外転』ではなく『上にずれてしまう』力の方が大きいからです。

外転三角筋だけ

そこで今回はここに注目してみてください。
外転三角筋骨運動

上腕骨と肩甲骨が、文字通り『関節』している部分です。

正常に腕を挙げるためには『緑』の点を中心に回るように動く必要があります。
これを可能にしているのが前回の最後に書いた『インナーマッスル』なんですね。

実際にはどうなっているかというと

2.肩のインナーマッスルの代表格【棘上筋】 

棘上筋

 

こんな感じで働いている筋肉があります。
このイラストの中で『棘上筋』と書かれているものです。

この棘上筋三角筋と共に働くことで中心をブラすことなく
『外転』運動を可能にしているわけです。

 

よく見ていただくと分かると思いますが
棘上筋は三角筋よりも関節に近い『内側』にありますよね。

それが『インナーマッスル』と呼ばれる所以です。

 

3.棘上筋のポイント1〜求心力〜

この棘上筋のポイントは2つあります。
1つ目は三角筋が外向き』の力と『上向き』の力が発生したのに対し
棘上筋は上向き』の力と『内向き』の力を発生するというところです。

 

棘上筋三角関数

Fss:棘上筋(SupraSpinatus muscle)の引っ張る方向

Fv:棘上筋の発生する力の垂直方向成分

Fh:棘上筋の発生する力の水平方向成分

 

この内向きの力がうまれることで、
上腕骨頭を肩甲骨関節窩(受け皿)に押し付ける力がうまれます。
この『骨を関節面に押し付ける力』を『求心力』と呼ぶのですが
この求心力を生み出すことこそが『インナーマッスル』の一番重要な役割です。

4.棘上筋のポイント2〜押し下げる〜

棘上筋のポイントは2つあると言いましたが
2つめは、

棘上筋が収縮するときに筋肉自体が骨頭を

『下向きに押し下げる力が発生する』

ということです。

 

棘上筋押し下げ

 

イメージとしてはこんな感じです。
この力が生まれることで三角筋および棘上筋の垂直方向の成分『上方向に外れていく力』を打ち消して、純粋に腕をあげる力【求心力】と【三角筋の水平方向成分】が残ることになります。

 

三角関数合成

 

ここで一度ざっくりまとめておきますと。

 

肩関節の外転運動における
インナーマッスル(棘上筋)はあくまでアウターマッスル(三角筋)の補助をする役割だということです。

三角筋は『外転力』を、
棘上筋は『求心力』を生み出すわけです。

 

5.運動学の影の主役【力のモーメント】

ここまでくれば物理的、数学的に考えるのにも慣れてきた頃でしょうから
もう一つ専門用語をお勉強していきましょう。

『力のモーメント』

という言葉です。

 

でも安心してください!

実はもう既に前々回、前回と今回のブログの中で、
『力のモーメント』というものには知らず知らずの内に触れていますので
おさらいと解説だけでいいと思います。

思い出してください。例えばこれ。

外転中心

これも。。。そう

三角筋骨運動

覚えていますか?

外転三角筋だけ

最後にもうひとつ。

棘上筋これら全てが『力のモーメント』です。

 

 

簡単に言えば『モノを回転させる力』のことです。

どこか一点を固定しておいて
その固定したところ以外に力を加えると
そのモノは回転します。

この『回転』させるための力の大きい、小さいを求めるのにとても役に立つのが
『力のモーメント』といわれるものです。

 

人間の体の動き、関節運動のほとんどは関節を支点とした
回転運動がほとんどなのでこの『モーメント』(性格には力のモーメント)を理解することは、運動学を理解したと言ってもいいのではないか!というほど便利なモノなので是非慣れてください!

 

ここで肩関節のインナーマッスルとアウターマッスルの話に戻りましょう。

 

棘上筋

 

『腕をあげる』ということに関して
『棘上筋と三角筋』どちらの方が効率がいいでしょうか?

 

この絵を見て直感で答えてみてください。
もしあなたが筋肉になった場合どちらの筋肉になった方が楽に腕を持ち上げられると思いますか?

 

もちろん三角筋になった方が楽ですよね!
これはじーっくりと次回解説したいと思います。
すみません!

やっぱり今回でも終わり切りませんでした。
このブログを書く何回か前に

 

『アウターマッスルは関節運動における大きな力を生み出し
インナーマッスルの動的な支持機構に関与する』

ということを書きましたが
今回の内容でなんとなく理解できるはずなのですが
『まだわからん!』
という方は

『そもそも軸って何?vol.3』
http://base-conditioning.com/axis_vol-3/

あたりから5回づつほど読み返してください。

 

よろしくお願いいたします!

軸ブログvol.6『外から動かすから軸がぶれる・後編その1』

問題。

1.『筋肉の働きは?』

2.下のイラストでおかしいところはどこでしょうか?

筋肉のイメージ1

 

今日は挨拶もなしにいきなりはじまりましたが
答えられますか?

 

こんにちわ。
身体と動きに『軸をつくる』ボディワークスタジオ BASE Conditioning Laboの山辺です。

年度始めの今日は
体を動かすときのめちゃくちゃ大事な要素のひとつ
『筋肉』について小学生にもわかるように解説していきたいと思います。

最初の質問『筋肉の働きは?』
専門書には色々書いてありますが、
覚えておいていただきたい
筋肉の働きは『縮むこと』です。

『縮むことで筋肉の長さが短くなる』
と覚えておいてください。

ちょうどこんな感じですね。

筋肉モデル

とにかく筋肉は力を入れた時に
『縮んでるんだな。』
とイメージしてみてください。

さらに、筋肉の両端にはほとんどの場合
『骨』が着いているので
その骨同士を近づける事になります。

繰り返しになりますが
筋肉の働きは、短く『縮む』事です。

そして
『縮む事で、その筋肉のひっついている骨を動かす事
これが本来の筋肉の目的です。

 

今日の最初の2つ目の質問にあった、
このイラストの間違っているところは
筋肉のイメージ1

筋肉の両端が一つの骨の付いているというところです。

これではたとえ筋肉が縮んだとしても、
骨はまったく動くことはありません。

ですので筋肉は必ず二つ以上の
骨に着く事になります。

 

上腕二頭筋モデル
こんな感じですね。

ちなみに筋肉が骨に付着するところを
解剖学的には『起始』『停止』と呼びます。

筋肉が縮んだ時
動いていない方の付着部を『起始』と呼び
動いている方を『停止』と呼ぶことが多いです。
もしくは体幹部、骨盤に近い方を『起始』
反対側を『停止』と呼ぶこともありますが
今回の話の中ではあまり必要ないです。

 

この『起始』『停止』という概念が理解できると
ストレッチや筋トレの理解が恐ろしく飛躍します。

 
要するに『起始』と『停止』を離していくのが『ストレッチ』

起始』と『停止』を近づけるように負荷をかけるのが『筋トレ』になります。

 

ここまで来て言うのもアレなのですが
今からが本題です 😉

 

少し思い出していただきたいのですが
そもそも何の話をしていたんでしょうか?

 

これですよね

外転中心

 

覚えていましたか?
題名にもあるように『外から動かすからブレる』ってヤツです。
軸の話をしていたんです。

ここに今日の
『筋肉が縮む事で骨が動く』
という部分を加えてみましょう。

少しだけイラストに手を加えて
本来の姿に近ずけている部分もありますが
基本的には同じです。

三角筋実は、これは腕を体の横から上げていく動きで
『三角筋』という肩の筋肉が作用します。

このイラストを見て前回の内容をちゃんと読んでくださっている方、
物理センスのある方は『こんなん絶対無理やん!』となるはずです。

 

左の絵の三角筋の停止部だけを拡大してみます。

 

三角筋停止

斜め上に向かってについているのが分かりますか?

これを物理的に考えていきましょう。

 

三角筋停止角度

『ベクトル』というのを思い出してくださいね。
こんな感じの覚えてますか?

もしこの三角筋が引っ張る方向が
上腕骨軸から30度方向だったとします。

 

 

 

 

これを2方向の力に分解してみたいと思います。
そうすると上腕骨(腕)を横に引っ張る力と
上に持ち上げる力とに分解するとができます。

 

 

力の分解

なんかこの辺から嫌になってきた方!
頑張ってください!

三角筋(deltoid)の引っ張る力(Force)の方向を『Fd』
三角筋の垂直方向(Vertival)の力『Fv』
三角筋の水平方向(Horizontal)の力『Fh』
で表しています。

ここからベクトルと切っても切れない概念。
中学の時は本当に嫌いでした。

はいこちら!

14594818981290

『三角関数』です。
「こんなん社会に出たら絶対使わんやろ!」なんて
社会の「し」の字も知らない頃に
自分が勉強したくないい言い訳として皆んなが使ったであろうあのセリフ。

 
社会人になった今。
サインもコサインもルートも出てきます。

こうやって計算をすると、

三角筋計算

三角筋が縮むことで産まれる力の
約90パーセントの力で上に引き上げる力
肩甲骨の受け皿から上腕骨を外してしまうような力になる訳です。
横に引っ張る力が肩関節の外転運動に使われる主たる力なのですが
これは三角筋の縮む力の50パーセントしか使われません。

ここで

「90(パーセント)+50(パーセント)で140パーセントになり
元の力を超えるやん!」

となりそうなのですが
そうはなりません。
必要ならこれはまた別の機会で説明しましょう。

では、

なぜ、私たちが腕を挙げようとした時に
上腕骨が上に外れてしまわずに
ちゃんと回転軸を保つ事ができるのでしょうか?

これがインナーマッスルなんですね。
それはまた次回にして
そろそろ今回の分は終わっておきます。